お金をもっていないのは、別にはずかしいことではない。もっているのに使わない、流さない、ためこんでばかりいるというのがいけない。みなから、非常にさげすまれる。「ザカート」は、喜捨とか救貧税と訳されるが、本来の意味は、「浄め」である。喜捨することによって、自分の財産が浄められると考える。したがって、ザカートをもらった人は、「ありがとうございました」とは言わない。もてる人の財産をきよらかなものにし、その人が宗教的義務をはたす手伝いをしてあげたのだと考える。ありがとうというとすれば、神に対してありがとうである。
(『イスラームの日常世界』、168頁より)