食事のスタイル

 アラビアの伝統的な食事は、床に敷かれたナツメヤシの葉で織った丸いござ風のお膳のまわりに、大勢が集まってなされる。近ごろはナツメヤシの膳の代わりに、町などでは日本製のビニールの敷物になってきている。足のついた食卓もでまわっているが、いずれにしても、西欧のように土足のまま食卓を囲むことは、都市のよほど西欧化した家以外ではみられない。はきものは脱ぎ、全員が、お膳のまわりに勢ぞろいして座る。自分の位置を決め、日本でいう正座をして、つぎに右ひざだけを立て右手を前にだし、左手を背中のほうへかくすようにする。いざ出陣といった恰好で半身にかまえる。ちょっと緊張したふん囲気が流れる。みなの食膳のまわりの位置が決まると、ヨーイドンでいっせいに食べはじめる。右手だけを使う。左手は使ってはいけない。

(「アッラーの恵の“いただき方”」、83頁より)