一・五センチ幅くらいの布と銀の紙でできた織りひもをつなぎ合わせて作り、鉛の飾りをつけ、鼻のところには、一列にコインを飾る。このコインをよく見ると、アフリカのもの、アメリカのもの、アジアのもの、トルコのものなどがあって、国際的であるのに驚かされる。メッカヘの巡礼客がおとしていったものである。
このブルグアを、各自たいてい二つ三つ持っている。母親が作ってくれたものと自分が丹念に作りあげたものである。家の中でははずすこともあるが、ふだんはいつもかぶっている。私にも作ってくれたので着用してみたら、直射日光をさえぎって、顔はひんやりとし、砂嵐の攻撃からも安全な感じがして、思いのほか快いものであった。
(『アラビア・ノート』(ちくま学芸文庫版)、77—78頁より)
この記述に関連した最新の現地調査による研究成果は『サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年』(河出書房新社、2019年)2-3、96-99頁「女性用飾面ブルグア 飾面のデザインと飾り、飾面の材料と作り方」にあり