テントの女の部屋には、かならず織機が置かれているが、ムラッバアになると、織機は、住まいの外や砂庭に置かれる。
定着がすすむと織機の代わりに手まわしミシンだけが、大事そうに女の部屋に置かれる。ミシンは、最近、テント住まいのベドウィンたちももつようになった。(中略)もちろん電気はないから、ムラッバアの場合もテントの場合も、どちらも手まわしミシンである。移動に便利なように小型のものがおおい。足ふみミシンなどのようなかさばるものは皆無である。手まわしミシンは、そのふたが半円形の空洞になっているから、太鼓にも使えて、ベドウィンたちのことさらのお気に入りになっている。
(「沙漠に生きるベドウィンのテント」、118頁より)