歓待は絨毯の上で

 どちらかといえば別れることには、淡々としているところがあるが、ひとと会うこと、出会うことには、驚喜せんばかりに喜ぶアラビア人たちは、訪問客を抱きかかえるようにして迎え入れる。頭から全身に、はらはらと薔薇水がふりかけられ、手編みの絨毯の上に招じ入れられる。絨毯は庭に敷かれることも多い。都会では応接間に絨毯が敷かれ、椅子もおかれているが、興がのってくると、みな絨毯の上にどっかりすわりこんで談笑が続く。むかしながらの「フロアリビング」。

(「ゆとろぎ」とすまい―ネオ・ノマディズムの時代にむけて、174頁)

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