縄田浩志(代表理事)
故片倉もとこ(2013年2月23日逝去)は、文化人類学者として、生涯にわたって中東の遊牧民とアラブ・ムスリムの研究に従事し、多大な成果を上げました。
私は、片倉もとこがワーディ・ファーティマで現地調査を始めたちょうどその頃に、この世に生を受けた世代です。長じて私自身も研究者として20年以上、沙漠に通い続けるようになりました。はじめて沙漠で砂嵐に出会った時、「沙漠への畏敬の念」と「沙漠に暮らす人々への愛」を強く感じたことが、沙漠に通い続ける理由です。
沙漠の美しさ、厳しい環境のもとでたくましく暮らす人々の素顔は、われわれを惹きつけてやみません。しかしながら、沙漠のない日本に暮らす多くの人々にとっては、まだまだ「沙漠は異文化」です。“ 沙漠そのもののうつくしさをひきだす ” 講演会や展示会や出前授業、沙漠文化に関する学際的研究また芸術活動の支援を行っていく体制をより強固にしていくと共に、片倉もとこ研究資料の整理とその再活用を積極的に推進していく所存です。当財団の活動を、応援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。