パンを焼くときに使うのは、動物の糞である。毎日、糞を集めに行っては、それをまるめてほして、燃料とする。
燃料には、このほか、たき木も使われるが、煙の出のすくない最良のたき木とされている潅木アフーを、荒野の奥にさがしまわる。一メートルくらいのこの木は、かさかさに乾いて、その根は荒野の岩と岩のあいだに、水をもとめて、地下水系のほうに深くがっちりとのびている。
(『沙漠へ、のびやかに』16頁より)
この記述に関連した最新の現地調査による研究成果は『サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年』(河出書房新社、2019年)128-129頁「オイルランタン―変わる燃料・光源」にあり