朝のコーヒー

 きれいな青いコーヒー豆を炭火で煎ります。インスタント・コーヒーなどではありません。煎ったのを少し冷まして、金属性*の椀の中で、すりこぎのようなものでつぶします。器を膝の間に挟んで、トントンたたきます。これは男の仕事です。その間に奥さんはポットにお湯を沸かします。それはダッラというのですがそのダッラの口のところにはナツメヤシの幹のモジャモジャした網のようなのを詰めてあります。この中に先程のつぶしたのを入れます。その中に香料のヘイルというのを入れます。英語ではカーディモンと言います。お砂糖は入れません。これを左手に持ち、右手には小さな盃を重ねて持ちます。10くらいですね。そして左手でダッラからコーヒーを盃に注ぐわけです。きれいな弧を描いて、コーヒーを盃に注ぎます。出来るだけ高くから入れたほうが良いのです。朝はあまり格好をつけたりしませんがお客がある時など、得意になって格好をつけていれます。

(「ベドウィンと暮らして」、7-8頁より)

*原文ママ