ゆったりとした時をすごす

 西アジアでは都市生活といっても、われわれ日本のそれにくらべれば、はるかにゆったりとしたものである。近代的ビルにあるりっぱなオフィスに勤める人でも、昼食時になれば家にもどって食事をし、それから中庭や居間でゆったりとした時をすごす。マスナド(ひじかけ兼まくら)にもたれてコーヒーを飲むもよし。砂糖をくわえて煮だしたハッカの葉をいれた紅茶も好まれる。たいていの人びとは、日ざしのするどい白昼を、昼寝ですごす。マグレブ(日没)の祈りをすませすこし涼しくなったら、近所の友人を訪ねてみようか…。家にお客があれば、客のからだじゅうにバラ水をふりかけたり、お香をたきこめたりする。それからコーヒー、紅茶、水タバコの順でもてなすのがふつうだ。

(「西アジアの都市生活」12-13頁より)

この記述に関連した最新の現地調査による研究成果は『サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年』(河出書房新社、2019年)64-65頁「くつろぎ空間の道具」にあり

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