日没から始まった彼らの一日。昼ごはんは、一日最後の主な食事である。たっぷり食べて床につく。「昼寝」という軽い感覚ではない。一日の始まりにそなえて、ぐっすり眠るのである。マリアムたちと一緒に、私も食事の後始末をしていると、スウスウがにじりよって来て、「ねむい」と言う。小さいやわらかな感触に、日本に残してきた幼い娘と息子のことを思い出し、胸にきゅんと痛みが走る。おばあちゃんやおばちゃんをてこずらせていないかしら……。

(『アラビア・ノート』(ちくま学芸文庫版)、48頁より)

この記述に関連した最新の現地調査による研究成果は『サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年』(河出書房新社、2019年)140-141頁「半世紀前の女性の一日」にあり