水に対するかんがえ

 遊牧民たちは、「もったいない」と、わざわざいいませんが、もったいないことはしません。それほどの資源もありません。人間にとって、もっとも大切な水でさえ、十分にはないのです。毎日井戸から、大事そうに運んできます。すっくと立って、水の入った缶を頭の上に乗せて一滴の水もこぼさずに運ぶのです。わたしもやってみたのですが、みているほど簡単ではありません。

 「ジャブジャブつかう」とか、「水にながしましょう」などという日本でよくつかわれる表現は、あの世界には存在しません。

 その少ない水にしても、大きな容器に確保するというようなことはなく、「この井戸に貯まっているじゃないの」といいます。

 公共の場所にみんながつかえるように置いておくことは、地球レベルで「貯める」ということなのでしょう。

(『やすむ元気 もたない勇気』、58-59頁より)

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