【報告】沙漠文化サロン第1回

第1回沙漠文化サロンが2022年12月11日に当財団事務所において開催されました。

話題提供者は、植物学を専門とするアルジェリア、クバ高等師範大学のアブドゥルフマーン・ベンハリーファ(Abderahmane BENKHALIFA)氏です。

ベンハリーファ氏はご自身のサハラ・オアシスの出身でもあり、故・小堀巌(元国際連合大学上級学術顧問)によるオアシス研究の共同研究者を長らくつとめてきました。また、当財団代表理事の縄田浩志がリーダーをつとめた、総合地球環境学研究所研究プロジェクト「アラブ社会におけるなりわい生態系の研究-」(2008-2014)においても、重要な役割を果たしてきました。

発表のテーマは「アルジェリアにおけるナツメヤシの品種多様性-市場と地域住民による加工(Abundant date palm cultivars in Algeria : Marketing & Local transformation)」です。

まず、アルジェリア・サハラにおけるナツメヤシの栽培環境、特に乾燥地ならではの灌漑水源確保のための知恵、そしてナツメヤシの多様な栽培品種について説明をいただきました。ベンハリーファ氏が参加した研究グループによるナツメヤシの実(デーツ)の形態分類によると、アルジェリア国内で900以上の品種を同定することができました。その後の追跡調査によって、サハラ・オアシスの人々が、多数のナツメヤシ品種のうち104もの品種に対して市場価値があるものと考えていることが紹介されました。さらに乾燥果実、完熟果実の生食だけではなく、パウダー、エキス、ビネガー、菓子への利用など、付加価値をくわえる地域の人々の試みが豊富な写真とともに示されました。

当日、会場での対面参加は9人、ウェブによる参加が10人と小規模ながら充実したサロンとなりました。また、瀬尾氏と和菓子職人さんとのコラボによるナツメヤシの実(デーツ)を使用した和菓子も提供され、味覚においてもナツメヤシを理解することができたと感じました(理事 石山俊)。

アルジェリア産デーツの実とデーツ和菓子

講演するベンリーファ氏(右端)

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